記憶
天城の深い山麓の向こうから吹いてくる風は刺すように冷たく、そんな中僕は火葬場から立ちのぼる祖母の煙を見上げていた。12月の昼さがりの空は薄い水色をしていて雲のないとても澄んだ色をしていた。その日の空はとくに鮮やかで、気温さえ高ければ初夏と勘違いしてしまいそうな空だった。やがてぶわあっと音を立てて拭いた冬の風にあおられた山の枯れ葉が山の中腹に位置する火葬場に舞い落ちてくる。日の光を浴び、反射させながらキラリキラリと舞い落ちてきた。くすんだ枯葉の色ではない、金色の輝きをたずさえ、キラリキラリと舞い落ちてきた。祖母の煙からしばし目線をずらし、その舞うきれいな枯葉をしばらく僕は見つめ続けた。







