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偶然の音楽 by ポール・オースター:レビュー

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アメリカの現代作家で一番好きなポール・オースター[ Paul auster ]。
移動中にちょっとずつ読もうと思っていましたが、読み始めたらおもしろくて途中で読むのやめれず一日で終わってしまいました。
今回読んだ"偶然の音楽"は内容的には派手なところがありませんが、後半はもうぐいぐい引っ張られる。
あらためて、ポール・オースターは素晴らしい作家だと思いました。訳者もたぶん上手だと思います。(原文読んだことないし、英語そんなにできないし、あくまで勘ですが)

元消防士の主人公ジム・ナッシュ。
妻と別れ娘を姉夫婦に預けて、父の死によって入ってきた遺産をもとに、車を購入して旅にでる。当てのない旅、これからどうするかをぼんやりと考えながらただ車を走らせる旅。
偶然であったポーカーギャンブルを生業にする若者ポッツィとともに、遺産の全てを宝くじによって金持ちになった不ぞろいな2人の男とギャンブルで勝負する。以前ギャンブルで負かした相手なので簡単に勝ち抜いて儲けるはずだったが、ラスベガスの有名なギャンブラーに指導を受けた2人の金持ちにまけてしまい、手持ちの金が尽きたナッシュとポッツィはある契約を交わす。
それはこの後彼らが受けることになる理不尽な出来事の始まりだった。
ここまで物語は淡々と、努めて冷静に進んでいく。この感じはポール・オースターの中で僕が好きなところ。SIMON & GARFUNKELの "America" や "bookend" のような世界観、たまんないです。

後半から物語は速度を増して進みますが途中ででてくる謎は最後までわからず、最後のシーンでの主人公の心象風景もどこか霧がかっていて、完全に理解できない。読者の想像にゆだねるといったところでしょう。

ポール・オースターの作品を色でたとえるならば灰色。YesかNoかといった明確さはない。それは彼が詩人であることに起因していると勝手に僕は推測している。"シティ オブ グラス" にしろ、"ムーンパレス" にしろいつだって彼の作品で映し出される情景はうっすらと霧がかかり目の前に陽が燦々と照りつけることはない。それが彼の作品のよさであり、読むものに不思議な読後感をあたえてくれる。

本作"偶然の音楽"は彼の作品の中で傑作に入る類の作品ではないが、ポール・オースターらしい空気感は存分に味わえる佳作だと思います。

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