
コインロッカーベイビーズで加速度的な疾走感で読む人を引きずり込んだ村上龍の2002年の作品。
村上龍の処女小説で群像新人文学賞を受賞した「限りなく透明に近いブルー」は正直、つまらなくただ気持ち悪い描写が続くだけで途中で読むのを放棄した。
売れてる作家なんだから、きっといい小説を書いているはずだとなかば強制的に思い直し買った「コインロッカーベイビーズ」は本当に素晴らしい作品だった。圧倒的なスピード感に心奪われ、村上龍の虜に...なるはずだった。
続いて「トパーズ」「ラブ&ポップ」と読んだけれど、正直どうしようもない小説だった。
それから友人の「村上龍なんて所詮今じゃワインとサッカーにしか興味ねえんだよ」という捨て台詞(根拠ないですけど、これって(笑))とともに村上龍の存在は忘れていました。
それから5年くらいたって、ふと思い立ちこの「希望の国のエクソダス」を購入しました。
ちょうど、「ラブ&ポップ」を読んだ頃に出版されていた作品。
経済、教育、学校崩壊、ITといったところをキーワードに子供達が生み出したネットワーク「ASUNARO」をフリーの記者の視点から描いている。
2002年という時代において、そのテーマはリアリティがあり旬な事象をとりあげていてこのパターンは「ラブ&ポップ」や処女小説の「限りなく透明に近いブルー」でも使われています。
実は村上龍の小説のウィークポイントはこの点にあらわれていて、テーマはリアリティに溢れているのに物語自体にリアリティがなく、さらにひどく不細工なものにみえてしまうという点です。
それを体現していない世代の違う人間が描いている感覚。
「お前〜あれだろ、あのジャカジャンってやつやってんだろ」
とどうしてもギターという言葉がでてこないおっさんのような、そんな不細工さが全編に漂ってしまっている気がしてならないのです。
「コインロッカー・ベイビーズ」のようなエネルギーに溢れた作品なら是非読みたいのですが、もし他の作品も「ラブ&ポップ」や「希望の国のエクソダス」のようであれば、僕の中ではあまり読む価値はないのかなと思ってしまいます。